「働きたくない」という熱い想いだけは誰にも負けない

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【酒のフタ回しの思い出】チートキャラは参戦しないに限る

小学生の頃、一升瓶の酒のフタをコマにして、回して遊ぶのが流行った。

 

遊び方は「せーのっ」で回し、一番長く回っていた者が勝ちである。

勝った者は負けた者のフタを取ることができる。地方によってはフタの上の部分だけ取り、メンコみたいにして遊んでいたところもあるらしいが、ボクのところは回して遊んでいた。

 

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出展:酒呑親爺の酔って候 酒ぶた 考察(rev.2)

 

強いだけではダメで、「どれだけ沢山のフタを持っているか」と「どれだけレアなフタを持っているか」かを競うゲームだった。

 

当時はレアなフタを持っている数=男の価値、だった。

 

回し方を研究し、フタに改造を施し、己の力を高めるのが勝利のポイント

 

武器は己のフタのみ。しかし、所詮は酒のフタなので、どれもこれも能力的には皆一緒。

勝負を決めるのは「回し方」「改造」だった。回し方を鍛えるには練習しかない。中には授業中、教科書を立てて、隠れて練習する猛者もいた。

 

改造はフタの裏に画びょうを刺し、回転力を強化するのはもちろん、中に小石を入れ、音が出るようにしたり(回転力は落ちるが、音で相手を錯乱させる)*1側面に長い画びょうを刺し、相手に直接攻撃を加えるなどがあった。

それぞれのやり方で己のフタを強くしていき、切磋琢磨していた。

 

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「眠れる獅子」の誕生

 

クラスの男子、ほとんどが酒のフタ回しに熱中している中、O君は興味を示さないひとりだった。O君は学年で一番頭が良い、クールなヤツだった。ボクはそんなO君を誘った。

ボク「一緒にやろうよ!」

O君「あんなの回して、何が面白いの?」

ボク「面白いよ。見て見て、ボクこれだけ持ってるし」

O君「ウチのおじさん酒屋だから、フタなんて嫌って言うほど持ってる」

ボク「えっ、マジ………?」

 

O君のおじさんは酒屋。瞬く間にそのウワサは広がっていった。

 

酒のフタがすべてのボク達にとって、酒屋は夢の場所であり、フタがどんどん湧き出る幸福の泉であった。

しかし、O君にとって酒屋はとても身近なものであり、酒のフタなどゴミ同然。だからこの流行も静観していたのだろう。

 

このことを知っているヤツは決して誰にも言わずに、ポケモンカードと引き換えにO君から酒のフタをもらっていた。O君はゴミとフシギバナのキラカードを交換、という非常に美味しい思いをしていた。

 

クールに笑いながらポケモンカードを見せてくるO君。ボクはその笑顔を見て、ある不安がよぎった。

「O君が酒のふた回しに参戦したら、どうなるのだろう……」と。

「眠れる獅子」が誕生した瞬間であった。

 

Peek-a-Boo

 

「そろそろ起きるか…」

 

「眠れる獅子」ついに参戦!!

 

酒のフタ回しには静観していたO君。みんな酒のフタに夢中で、いくらポケモンカードを集めても誰も見向きもしない。

それが気に入らなかったのか、O君はある日、ついに酒のふた回しに参戦すると宣言した。

 

「俺もふた回し、やる!!」

 

「眠れる獅子」が満を持しての参戦である。クラス中「ついに来やがったか…」みたいな戦々恐々とした雰囲気に包まれた。

 

 

 次の日、彼はスーパーの袋にフタを大量に入れて、持ってきた。

「うおーーーーー!!すげえーーーー!!」

中身は見たことのないフタが沢山入っていた。皆、O君のところに集まった。興奮していた。ボクもフガフガ言ってた。

 

フタの過剰供給により、デフレが起こる

 

 O君、参戦したものの、所詮は新規参入者、ノウハウを全く知らない。連戦連敗で、フタはどんどん減っていった。

 

減ってきたらまた袋に入れて持ってくるO君。また負ける。どんどんクラスの中にフタが溢れていった。

 

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クラスの中でフタの量が増えるとどうなるかというと、価値が下がっていくのだ。完全にフタのデフレーション発生である。

こうなると誰もフタを欲しがらない。勝負に勝っても「もういらねえよ、『いいちこ』のフタなんて」という感じになった。

 

皆、フタへの興味が薄れ、最終的に酒のフタ回しは誰もやらなくなった。O君の参戦が世界(クラス)のフタ回しの破滅を招いたのだ。

 

チートキャラは参戦しないに限る

 

あまりに強すぎるキャラが出てくるとゲームバランスが崩れる。これは今や常識である。

 

映画『クローズゼロ』の『リンダマン』は敵も味方も誰も適わない最強キャラだった。リンダマンがもし、鈴蘭VS鳳仙に参戦したら、圧倒的な鈴蘭の勝利に終わる。

 

しかし、それだとあの熱い戦いは展開されなかっただろう。強すぎるキャラの参戦は戦いのバランスを崩してしまうのである。

 

O君の参戦は『リンダマンが参戦する』と同じようなことだった。それだけじゃなく、フタの過剰供給という一番やってはいけないこともしてしまった。

 

O君が参戦しなかったら、酒のフタ回しをもうちょっと楽しめることができただろう。皆の楽しみを奪って行ったO君。小学生とはいえ、重罪である。

 

強すぎるキャラは参戦しないに限る。

 

さいごにひとこと

 

 ちなみにO君は京大出て、現在、国家公務員やってる。ポケモンカード大量ゲットするわ、フタは死ぬほど持ってるわ、今は国家公務員だわ、で生まれてから彼はずっといい思いをしている。神よ、これが平等というヤツか?ジーザスクライスト。

 

*1:回っている最中は見ているだけなので、音で錯乱させたとしても、特段意味はない