「働きたくない」という熱い想いだけは誰にも負けない

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日雇いオッサンの失敗

まんじゅうを作る工場での出来事。

日雇い派遣だったボクはその工場で働くこととなった。仕事内容はまんじゅうを作るラインの先頭に立ち、アンコを機械に投入するというものだった。

そこで見た失敗が忘れられない。日雇い派遣など二度とゴメンだと心から思った出来事である。

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結構ハードなアンコ投入作業

 アンコの入った袋をカッターで切り、機械に投入していく。

作業自体は非常に簡単なのだが、アンコが流れるスピードについていくのが大変だ。すぐにアンコは流れてなくなり、また袋を切って投入。

ずっと動きっぱなしで中々骨の折れる作業だ。若くてまだまだ元気だった当時のボクでも息が切れるくらいの作業だった。

 

そのラインに使うアンコは「こしあん」のみである。

なのになぜかこしあんの袋が積んであるすぐ隣に「つぶあん」の袋があるのだ。しかも袋はよく似ており、間違ってしまう恐れがある。それを少し気にしながら、作業をしていた。

 

休憩をはさみ、ボクは場所移動となった。アンコ投入作業はハードなので、頻繁に交代されるのだ。

ボクは後方のまんじゅうをケースに詰める作業に入り、アンコ投入は同じ日雇いのオッサンがすることになった。

 

このオッサンは社員の給与の計算をすべて銀行が行うと思い込んでいるちょっと残念なオッサンなので、ボクは「間違えてつぶあん入れたりせんやろか」とちょっと心配になった。

 

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オッサン案の定、間違える

 順調に作業が進み、まんじゅうがどんどん完成していく。すごいスピードで積まれていくまんじゅうは見ていて爽快でもある。

 

そこで隣のパートのオバハンが突然怪訝な顔で言いだした。「コレ、つぶあん入ってない?」

 

オバハンはまんじゅうにアンコを入れ続けること苦節20年、まんじゅう作りのプロなのだろう(知らんけど)。触っただけでわかったようだ。

 

おそるおそる中を開いて見てみると、完全につぶあんが入っていた。

つぶあんを入れるのはアンパンマンの顔のみで、このラインにはこしあんしか使わないことはすでに述べた(司馬遼太郎風)

 

「やっぱりやりおった…」ボクは絶句したと同時にトラブルを目の当たりにする前の不思議なワクワク感に包まれていた。

 

 

職場環境は最悪

 少し話はそれるが、この職場環境は大変クソである。

作業員の9.9割がオバハンであり、いわゆるオバハンワールドと化している。他の職場にもオバハンワールドは存在するが、そういう世界で生き残っていくのはソマリアで生き残るより難しいとされる。

 

このまんじゅう工場のオバハンワールドはそこいらのオバハンワールドとは一味違い、イジメ、いやがらせが尋常じゃなく多い。

 

新しく入ったオバハンの9割が1日で辞めていく。数あるオバハンワールドの中でも特に生存率が低いところである。その証拠にメンタルクリニックみたいな部署が工場内に存在する。全く機能してなさそうだが。

 

ボクはそんな厳しい環境でもオバハンからのセクハラを受け入れることで気に入られ、なんとかやっていけた。

オナニーの回数を聞かれたり、スライムのごとく垂れきった乳を押し付けられたり、チ○コをさりげなく触られたり。

 

ここで生き残るにはそれくらいのことは我慢しないといけないのである。こんなクソみたいな環境でオッサンは重大なミスを犯したのだった。えらいこっちゃ。

 

f:id:kiyokiyo-1107:20180613145444j:plainオバハンの餌食になるオッサン

 間違えてつぶあんを入れてしまったオッサン。

「つぶあんやんかコレ!!」オバハンの絶叫に工場内は騒然となった。次々集まってくる違うラインのオバハン達。

 

つぶあんを入れ出してからどれくらい経ったのだろう。完成し積み上げられたまんじゅうのどれだけにつぶあんが入っているのだろう。

 

オバハンが集まりつぶあん探しが始まった。ワゴンセールに群がるオバハンを想像してもらえればわかりやすい。正月のTVでよく放映されるアレだ。

 

「誰間違えたん!?」「どっからつぶあんなん!?」ケースを開いていき、中を割りまくるオバハン。

ここからここまでがこしあんでこっからつぶあん。みたいな分け方ができるハズもない。オッサンはこしあんとつぶあんを交互に入れている可能性もあるのだ。

だから休憩明けでオッサンに交代した後、作られたまんじゅうはすべて廃棄になるだろう。

 

オバハンがパニックになっている中、失敗した当の本人はただただ呆然としていた。そりゃそうだろう。自分のせいで全ラインがストップしたのだから。

 

工場長が来て、全従業員参加のミーティングの運びとなった。

「派遣の人がどうとかこうとかじゃなくて、間違えそうなところにつぶあんを置いたパートの人も悪い」みたいなすごく真っ当な意見でそのミーティングは終わった。

まんじゅうは全廃棄。作り直しとなり、ボクはまたアンコ投入に回された。

 

オッサンはボクがセクハラを受けまくっていた後方ラインのオバハン密集地帯に入った。

こうなったらライオンの群れに入られたシマウマみたいなもんである。オッサンは案の定餌食にされた。

 

「あんた!なにしてくれてんの!」

「ええ歳こいて、あんな仕事もできんのかいな」

「あんたみたいなのが来るから仕事もまわらへんねん!」

「はよ、入れんかいな!ウスノロ!」

 

「これが罵詈雑言というやつか…」とボクは恐怖のあまり震えていた。それくらい罵詈雑言が激しく、仕事に集中できないほどだった。f:id:kiyokiyo-1107:20180613145618j:plain

 

ボクもオバハンと同類だった

 オバハンに罵倒され、まんじゅうを投げつけられ、他のラインのオバハンからもメンチを切られ、ボロボロのオッサン。

 

その時のボクはそのイジメに加わることはなくても、黙って傍観していた。

空いた時間に励ますこともできたはずだ。でもしなかった。イジメの対象になるのを恐れたからだ。

 

あくまでボクはオバハン側にいたかった。オッサンを見下し、相手にしなかった。「こんなオッサンにはなりたくねえな」なんて思いながら。

 

ボクはオッサンより優位に立っていたつもりでいたが、今思えばどうだったんだろう。

 

オッサンは仕事でミスしただけだ。ミスなんて誰でもする。特に今回のケースはミスしやすい状況だった。オッサンは何も悪くない。

 

一方ボクはオバハンにチ○コを差し出しただけだ。オッサンより優位に立てる立場ではない。いや、チ○コを差し出している分、オッサン以下だ。

 

ひとつのミスでその人間を判断するべきではない。そんなことを学んだ当時のボク。それ以来、その職場には行っていない。近くを通るだけで、イヤな自分を思い出す。

 

オッサンは元気にしてるんだろうか。

ひとつだけ確実なことは、無職になったボクはあのオッサンに近づきつつあるということだ。